バットガールNEWS

亜米利加西海岸華盛頓から、日本に向けて愛とニュースを打つブログ。

ニュージーランド、同性婚を合法化...可決直後、法案の発起人に傍聴席から集団ラブソング【動画】

ニュージーランド議会は17日、同性結婚を認める法案を賛成77、反対44で可決しました。...とここまでは大手ニュースメディアで報じられていますが、その後に起こった実に珍しい出来事についてはあまり言及されていないようです。

f:id:batgirlnews:20130419082918j:plain

ニュージーランドでは2005年から、シビル・ユニオン制度により同性カップルにいくつかの法的権利が認められていましたが、今回の法改正により男女間の結婚と権利が平等になり、カップルが養子をとることなどが可能になります。同性婚はオランダやベルギー、スペインなど、ヨーロッパの複数の国やカナダなど合わせて12か国で認められていますが、アジア・オセアニア地域の国ではニュージーランドが初めてです。

 

f:id:batgirlnews:20130419082956j:plain

保守派の議員からの反対意見もあり、審議を重ねて17日夜にたどり着いた採決。この法案の発起人は、自らもレズビアンの国会議員、ルイサ・ウォール(Louisa Wall)議員でした(上写真、左)。可決が読み上げられると議会と傍聴席からは大きな拍手が湧き起こり、そして...なんと、歌声が聞こえてきます(歴史的な票数の読み上げは下ビデオ「0:30」頃から、歌の場面は「1:15」頃から)。

 

傍聴席に何百人と集まった支持者がウォール議員に捧げて歌ったのは、「ポカレカレ アナ(Pokarekare Ana)」。マオリ語で歌われる、ニュージーランドの伝統的なラブソングです。

 

ウォール議員は、スタンディング・オベーションを受けたスピーチの中でこう述べました。 「我々の社会で、結婚の意味は(全ての人に)共通するものになりました--それは愛の宣言、そして特別な人との誓約です」 「この法案の可決ほど、ニュージーランド人として誇りに思うことはありません。」

 

この瞬間に立ち会うため、1時間半運転してパートナーのデボラ・ハンブリー(Deborah Hambly)さんと傍聴しに来たという弁護士のジルス・アンガス・バーニー(Jills Angus Burney)さんは、「これはものすごく大きな出来事です」と語りました。「私にとって、非常に重要なことです。本当に信じられません。」長老派教会の信者(Presbyterian)である彼女は、(今まで許されなかった)伝統的な結婚式を挙げて盛大に祝福したいそうです。

 

可決されたとは言え、国内にはまだ根強い反対もあります。昨年、ロビイスト団体のFamily Firstは、5万人の署名を集めてこの法案に反対する嘆願書を提出しましたが、それからさらに2万5千人の新しい署名が加わったそうです。

 

しかし世論調査ではニュージーランドの有権者3分の2が同性婚に賛同しており、法改正にはキー首相も賛同していたことも考え合わせると、今年夏の発効は実現する見通しです。お隣のオーストラリアでは同性カップルの結婚は認められていないため、ロビイスト団体Australian Marriage Equalityによると、既に1,000人ほどがアンケートで「ニュージーランドに行って結婚式を挙げたい」と回答したとか。(ただし自国では法的に認められませんが。)

 

立場はさまざまですが、多くの人の人生に計り知れない変化を与えるこの法案。可決の喜びから議事堂で国会議員に向けラブソングが歌われるという、めったに見られない場面を生みました。

-B
 

[ちなみに]1990年代、ニュージーランド航空はオペラ歌手キリ・テ・カナワの歌う「ポカレカレ アナ」をキャンペーンに採用(下)。CMは大ヒットし、同社は2000年代に入ってからも「ポカレカレ アナ」が流れるCMシリーズを作り続けました。

「ポカレカレ アナ」歌詞の一例(マオリ語・日本語意訳)

 

■ 他おすすめ映像・記事

全ての女性に見てほしい実験CM:自分が描く「わたし」像と、他人が見たイメージはどう違う?

Microsoft、OutlookのCMに同性婚シーン投入...専門家「もはやリスクではない」

「今でもなお」いじめの継続的な影響を、アニメ+詩パフォーマンスで綴った映像が話題に【全訳】

 

記事元:YouTube (inthehouseNZ)HuffPost Gay Voices(1)HuffPost GV(2)YouTube (enRoute)