バットガールNEWS

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英SFシリーズ『ドクター・フー』の超定番キャラ、ダーレクの生みの親レイ・キューシック氏が死去

イギリスBBCで1963年から放映されている、世界最長のSFテレビドラマシリーズ『ドクター・フー』。そしてドクター・フーの前に幾度となく現れ、最近もカムバックした人気悪役キャラと言えばダーレクですが、そのダーレクを1963年にデザインしたレイ・キューシック氏が現地時間21日、心不全で死去したと発表がありました。享年84歳でした。

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[Image via bbc.co.uk]

8年前から再びオンエアされることになり、現在も絶大な人気を誇る長寿番組『ドクター・フー』は、今年50周年を迎えます。レイモンド・“レイ”・キューシック(Raymond "Ray" Cusick)氏は、1963年、新しく始まる番組のためにエイリアンをデザインするようBBCから依頼されました。(ダーレクのコンセプトを書いたのは脚本家のテリー・ネイション氏ですが、キューシック氏は視覚/物理的なデザインを担当しました。)

 

BBCは当時『ドクター・フー』を家族向け番組として構想し、タイムトラベルを軸に科学的なコンセプトや歴史上の出来事を紹介していく、教育的なシリーズに作り上げていく予定だったそうです。 

 

シーズン1の『The Daleks』エピソードで初登場した、惑星スカロのミュータント種族「ダーレク」は「Exterminate!(抹殺セヨ!)」という機械的な声と共に大ヒット。番組の人気に拍車をかけ、イギリスのSF文化の中で主要な位置を占める存在になりました。シリーズをそんなに見ていない人でも、ドクター・フーと言えば「Ex-ter-mi-nate!」と言う声と共にダーレクをすぐ思い起こす、と現在その声を担当する声優、ニコラス・ブリッグズ(Nicholas Briggs)氏はビデオ(下)の中で語ります。


Doctor Who Magazine』誌はこうツイートしました。
「ダーレクの生みの親であるデザイナー、レイ・キューシック氏が亡くなられたことは誠に残念でなりません。半世紀を経てなお、彼の象徴的デザインは生き続けます」

また、古くから『ドクター・フー』に俳優と脚本家として関わっているマーク・ゲイティス(Mark Gatiss)氏はこうツイートしています。
「さようなら、偉大なレイ・キューシック。(50周年の)記念の年に彼を失うのは悲しいけれど、彼の創造が死ぬことはない。ダーレクは永遠だ!」

 

<ダーレクはコショウ入れ...いや塩入れだった!?ことの真相>

2008年、BBC Threeが放映する『ドクター・フー』の裏話を語る番組『Doctor Who Confidential ドクター・フー極秘情報)』の中で、キューシック氏はダーレクのデザインについて語りました。番組に出てくるさまざまなエイリアン種族を作る係だったBBCの特殊効果エキスパート、ビル・ロバーツ(Bill Roberts)氏と昼食をとっていた時に、ダーレクのアイデアを話し合ったそうです。キューシック氏はテーブルの上にあったコショウ入れを使い、考えているエイリアンの滑るような動き方をロバーツ氏に見せて、「こんな風に動くんだ -- どうやって動いているのか(足などのパーツが)見えないように」とデモンストレーションしたとか。

 

...と言うと、コショウ入れがインスピレーションだったように聞こえるのですが、それはちょっと違う、と後にキューシック氏は述べています。

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<誤解ではあったものの、こんなセットは購入可能。via thinkgeek.com

 

「ああ言ってから、人々はコショウ入れがインスピレーションだったように言うんだが、使ったのは塩入れだったかも知れないし」「コショウ入れだけでデザイナーになれたら苦労しないよ」と補足して、BBCにこう説明しました。「何がアイデアに繋がったかと聞かれたら、それはシステムを論理的に考えた結果で。なぜかと言うと、(中に)オペレーターがいないと操作できないと考えていたから。機械的なものを作れば、たいてい壊れて撮影中うまくいかなくなる。だから完全に当てにできるようにするには、人間を中に入れるほかない。」「そこから、『そうすると、オペレーターは中で座らなくちゃいけないから』と考えて、人間工学に基づいた18インチの高さのイスを描いて、これでオペレーターの部分は出来たから、とそのまわりを囲んで描いたんだ。そうして基本的な形が出来上がった。」

 

その後コショウ入れかもしくは塩入れを小道具に使い、ロバーツ氏に動作の説明をした、というわけですが、世間には「ダーレクはもともとコショウ入れだった!」と思われてしまったようです。(現に、英『The Telegraph』紙もそう報じています。)

 

<ノーフォーク・ホルトで開催されたダーレク・デーの様子>

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[Image: bbc.co.uk]

 

ドクター・フー』の視聴者にとっては、ダーレクは惑星スカロの科学者ダブロス博士が、スカロに仕掛けられた宇宙戦争を生き抜くために創造したものとされています。しかし後に、自ら創ったダーレクが博士の死を招くのですが...。

 

現実の創造主キューシック氏は、ダーレクにもコショウ入れにも狙われることなく、眠っている最中に亡くなられたそうです。彼の人生を讃え、みんなで『ドクター・フー』コスプレ祭りをしよう!などという動きもあるようで、キューシック氏の創造したキャラクターの数々は、これからもまだまだ長生きしそうです。

R.I.P. ご冥福をお祈り申し上げます。Thank you for giving us the Daleks, Mr. Cusick!

 

f:id:batgirlnews:20130209132123p:plain他おすすめ記事:

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記事元:BBCThe Telegraphon.AOL.com